episode

01
これが噂のパラメーター画面って
やつですか

6人が目覚めると、そこは異世界だった。

驚きが顔に出ない白野、「割とこういうの慣れてます」と笑顔の藤丸、「カニファン的なヤツだな理解した」と肩を組む衛宮遠野組。拍子抜けなくらいに受け入れる面々に、頭上に浮かぶ、割烹着とか着物とか似合いそうな声の魔法のステッキがアドバイスをくれた。
ここはファンタジーをベースにした異世界で、『ラスボス』を倒せば元の世界に戻れるという分かりやすい筋立てのもの。

ラノベで流行っているあれだな!!とノリノリでステータスオープンを唱える6人だったが、ステータス画面表示を現地語から日本語に切り替えた途端、誰ともなくぽつりと言った。

「うわ、このパーティ滅茶苦茶バランス悪いな」と。

02
「―――これが、
モノを殺すっていうことだ」

一同は食事、寝床など工夫しながら人里を目指す。途中、「士郎先輩のご飯何だか凄く懐かしい味がして美味しいです」と藤丸に褒められた士郎が白目を剥いたりと色々な苦難あったが、ようやくあと一歩で最寄りの村に到着というところまで来た。

だが深夜、パーティはウェアウルフの群れに襲われてしまう。咄嗟に眼鏡を外した志貴が応戦するが、引き換えに心に深いダメージを負うことになってしまった。

03
そういうデメリットがあるなら
別の職業に変えたいです

志貴が戦いの中で知ったこと、それはこの世界では【主人公らしいキメ台詞を言い、ポーズをキメないと己が主人公たる能力が使えない】というものだった。
うっかり「これがモノを殺すっていうことだ」を同年代の仲間の前でやってしまい志貴は心に深い傷を負う。止めろ素面の顔でこっちを見るなスミマセンつい口から出たんです。

「生きているのなら、神様だって―――うっ」
「私はあと二回の変身を――ねえこれなんか違うわよね!?」

唯一この手の事に抵抗の無い白野は直接戦闘力がほぼ皆無。ほぼ全員が照れて牽制し合う中、士郎の投影魔術が窮地を救う。
「えっ、呪文詠唱とかカッコいいじゃないか?」とあっけらかんに言う様に、全会一致でパーティのリーダーは士郎に決まった。

段々役割が決まりパーティっぽさを増していく一行。一同は無事に村に辿り着き、とある少女に宿を貸して貰える運びとなった。

04
四天王がどいつもこいつも声が良い

無事村に辿り着き、この世界の詳しい説明を受ける6人。
全員がチート職業の上に、それぞれにチートスキルも備わっているため、どこへ行こうと戦力としては申し分が無い。詳細な地名を聞き、地図も貰い、この世界をどう攻略していこうかと期待に胸を膨らませていた。

だが魔王の名前、そして4天王の名前を聞くとパーティの半数がげんなりした顔に変わる。

そっかーーーうわーーーーー、もしかしなくてもその四天王、めちゃくちゃ声良いんじゃないですかそうですか。
相談の結果、まずは【ハシーシュの翁】の根城へ向かおうということに決まった。