物語

第1話

恋は落ちるもの

月の綺麗な夜、家路を急ぐべテランマタギのオリオン。
月明かりに足元が照らされるのが嬉しくなり、月に向かって何の気なしに発した
「いっつも俺の後付いて来るよな、俺に惚れてんだろ?」
「俺も惚れてるよ~、…なんちゃって!」
という独り言に、なんと空から返事が返って来た。

「私にプロポーズしてくれたのは、ダーリンね!?」

どう考えてもこれはヤバいやつ。常識は無いし色々ズレてるトラブルメーカー、おまけに自称女神!?
自分にベタ惚れだし外見は好みだし笑顔が滅茶苦茶可愛いけど、俺はまだ、グっときてなんかいない。

第2話

OKとりあえず服を着ろ。

空から落ちて来た女神さまは天然だった。

とりあえずご町内を破廉恥な姿で飛び回らないでほしい。いや、できれば飛ぶところから止めてほしいけどこの際贅沢は言わない。布面積を増やしてほしい。

そんな切なる願いを受信して、叔父っこが助けに来てくれた。ふわふわなゆるっとラインの服装に、こんなのはじめて!と喜ぶ笑顔。ダーリンはどれが好み?とか寄ってこないでほしい。

俺はまだ、グっときてなんかいない。(二回目)
第3話~第21話の公開は
終了いたしました

第22話

Munitions company
『True ancestor』

一触即発と思われたアルテミスとアルクェイドだったが、空気はいっぺんに軟化した。
「ちょっかい出してごめんね、私と似た立場の子と話してみたかったの!」
意気投合ののち、二人で恋バナするねと置き去りにされるオリオン。

かしましいのが居なくなり、久しぶりの休みを取るかと昼寝をしていると唐突に部屋のチャイムが鳴った。そこに居たのは見慣れた顔の【アルテミスの神官】の二人。だが表情はいつになく険しかった。
「そろそろ本当のことを伝えねば」と出された彼女の名刺には、大企業オリュンポス・軍事技術開発部の文字が―――

喫茶店で恋話の続きのように月の姫は語る。
「私もね、ある男の子にうっかり壊されちゃったせいで兵器の生活から解放されたの。――で、貴方はどこのメーカーの子なの?」

第23話

恋とはどんなものかしら

アルテミスの正体は女神ではなく、要人警護用の戦闘兵器だった。
「お前を愛している」というフレーズをキーワードに相手をダーリン(警護対象)と認識する乙女型兵器。あの月の夜、空輸の最中偶然自分の方向に放たれた愛の言葉を拾い、オリオンをダーリンに設定してしまったのだった。
アタランテ曰く、本部オリュンポスから彼女の回収の為この街に強力な同型兵器が既に入り込まされているらしい。急いで二人で逃げろと背を押されるが、アルテミスは自分の愛に自信が持てなり動けなくなってしまった。

追い詰められ、リセットの為には現登録者のオリオンが死ぬしかない・もしくは技術流出防止の為にアルテミスを本体ごと破壊するしかないと選択を迫られる二人。

今まで言えなかった本心を告げ前へ出るオリオンと必死に止めるアルテミスだったが、その時、鈴の鳴るような声がした。
「あら、ちゃんと素直に言えるじゃない愛の言葉。それに免じてちょっとだけ手伝ってあげるわ。」
「知ってたかしら?この街にはもう一人【女神】がいるのよ―――」