添い寝屋【sheep sleep】
01
業界のイメージチェンジを目指して
――本日はお忙しい中インタビューのお時間をありがとうございます。
早速なのですが、添い寝屋さんという業種についてお聞きしたく思います。
単調直入に聞いてしまいますが、添い寝屋さんというとどうしても性的なもの・アングラなものと受け取られがちですよね。弊社に登録して下さっている就活中の方々も、興味はあるものの一歩踏み出せない…という方が多いと思います。具体的に業務形態についてお聞きしても良いでしょうか?
良いねえ、そのハッキリ突っ込んでくる質問。いいよ、何でもお答えしよう。
まずはそうだね、端的に言ってしまうとうちは「お客様により良い眠りを」というものがコンセプトなんだけど…
――「眠り」から「夜」、ひいてはいかがわしい夜の仕事を連想される方も多いですよね。
うん。実はね、うちで一番の稼ぎ頭って実はお昼出勤なんだよね。
――えっ?
つまりお昼寝担当なわけ。
うちは昼番と夜番があるんだけど、トップ1,2の社員はどちらもお昼なんだ。
勿論夜番のほうが出勤も大変だし、もしも良からぬことを考えてるお客様がいたら…の対処や保険もあるしで夜間担当の子のほうが給与は良いんだけど、リピート率や氏名率が高いのは昼なんだよね。
――リピート…ということは特定のファンが付くという感じなのでしょうか。
うん。例えば昼トップの彼の場合、特に独身の人に人気があるんだ。仕事に疲れた、どれだけ頑張っても褒めてもらえない、転勤や異動でホームシック。そういうお客さんがね、一緒にお昼寝してもらうと凄く安心するんだそうだよ。大きな手の平で背中をトントンされながら子守唄を歌ってもらうと、童心に返るんだって。昼寝そのものもだけど、寝入りばなに悩みや苦しみを吐き出して、それを聞いてくれるのも心地良いんだとか。
男女問わず人気だね。ともすると、そこそこ年のいった男性のお客さんのほうが割合が多かったりするよ。ほら、年齢が上がってしかも男の人だと、なかなか自分よりも強い人に甘えるって日常で無いだろうからねえ。60歳くらいの初老のお客さんが、まるで亡くなった父が添い寝してくれていたようだった、と号泣しながらお礼の電話をくれたこともあるよ。そういう方は本当に細く長くリピート指名してくれるねえ。
逆に若い人の場合、あまりに頻繁にリピートしようとするお客さんも多いんだけど、そういう方は断って月1くらいでお受けしている。この辺受けるかどうかはスタッフ一人一人の裁量なんだけど、彼曰く「あまり自分に依存するのは良くない」という理由で頻度を下げてるね。むしろ段々指名が入らなくなっていくのを喜んでる節があるよ。成長して強くなって、自分が必要なくなるのが嬉しいんだと。普通は指名取るのに必死になるものなのに珍しいよねえ。そういうところが人気の理由なんだろうけどね。
02
思わぬ需要!拡大する事業
――思っていたよりもずっと健全で 優しい仕事なんですね…!いかがわしいものでは、と思っていた自分がお恥ずかしいです。
そうだとも。何と言っても眠りは人の一番の癒しなんだからね。認識を改めてくれて僕も嬉しい。
そうそう、トップ2の子も男性なんだ。こっちもやっぱり昼の部だよ。
――彼の場合はどういうオファーが…?
彼はもっと特殊だねえ!保育園や幼稚園のお昼寝タイムに引っ張りだこなんだ。
なかなか寝てくれない、まずお布団に入ってくれない、そんな子も喜んで一緒に寝てくれると大評判だよ。
彼が来るって予定の日は、枕を握りしめてしきりに外をソワソワ見てるお子さんが多いんだそうだ。
彼の場合は、20人とか30人とかの児童とのお昼寝になるから一度にがつっとお金が入るタイプだね。こちらとしても有難いオファーなんで一人頭の単価は相当お安くサービスしてるんだけど、それでも実入りは凄く良いはずだよ。ただ彼、90分のお昼寝のお仕事なのに その2時間前には行って子供たちと一緒に遊んでるって話だから、時給とか拘束時間とか考えるとあまり割は良くないのかもしれないけど…でも本人が何よりその時間が幸せそうだからねえ。
――なるほど。とても素敵ですね!しかしここまで人気のスタッフさん揃いだと、予約が大変そうです…!ご希望通りに予約が取れない場合などの対処は何かされているのでしょうか?
今のところ、ナンバーワンの彼特製の安眠スマッジスティックとか、当社のイメージキャラクター・どぅむじくんのもふもふぬいぐるみなんかを商品展開してるかな。普通に買えるものでもあるけど、3回続けて予約が取れなかった場合はお詫びに無償でプレゼントしているよ。こちらのほうも今後もっと展開をしてみたいね。夜の部の子のグッズはちょっと風営法に引っかかりそうで怖いから難しそうだけど……
03
夜のプロフェッショナル
――夜番のお話が出たので聞いてしまいましょうか。こちらの方は昼と趣が違うと事前に聞いていましたが…?
うん。夜は2種に分かれてるね。昼の部とそう変わらない部署と…
さっき健全と褒めてもらった後で申し訳ないんだけど、完全アダルト部と。
――…ええええーーーっ!!??
まあ聞いて欲しい。確かにここの部門、エロありロリありSMあり、なんだったら強姦とかうちのキャストじゃない子に相手させたりとか違法行為まで何でもござれなんだけど、法律には全く触れてないんだよね。
――違法なのに違法じゃない…????
だって全部、夢の中だから。
――……んんっ??
うちの夜の部、アングラなセクションは特殊な子しか配属されないようになってるんだ。 夢魔。それが絶対条件。お客さんに思い通りの夢を見させるのがお仕事だよ。夢の中なら何やったって自由だろう?
――合点がいきました!それで…!
勿論アダルトじゃない依頼もあるよ。病気や事故で体が不自由になった方が、思いっきりスポーツを楽しむ夢を見たいとか…
――ああ……
クソみたいな上司を思う存分ブチ殺したいとか。
――あああああ~~~……
「発散」だって立派な癒しだろう?その一環としてまあ、アダルトにも対応してますよって感じかな。
現実でお店を探すのが難しい、発散しにくい特殊性癖…うちだとまあ、担当の子の外見が幼いから特にロリコン系が強いね。
――ええとその、現実へのフィードバックみたいなものは大丈夫なんでしょうか…?夢で上手くいったからと現実で事件を起こすようなお客様とかは…
うーん。あまりこれ大きな声では言えないんだけど、危険思想を持ってるような方については…スタッフの子が「私じゃなきゃ満足できないようにしてあげたわ?」って言ってたりとか…犯罪を起こせる気力も無いくらい干からびてたりとか…あとはずっと夢の中で好きなようにしててもらうって言うか…ははは、うちも客商売なんで、具体的にはあまりこう、ね?(両手でハサミのジェスチャー)
――いえ、安心しました。ありがとうございます。
夢魔だからこそ、現実との境目の線引きは厳しいつもりだよ。
だって現実が夢と何も変わりが無くなっちゃったら、それこそ存在できなくなっちゃうかもしれないからね。
まあでも、特殊な性癖を抱えて悩んでいる方には精一杯いい夢を見させてあげることは保証するよ。そのお客さんは現実と向き合って、夢を見ることで現実を侵食しないように努力してる人だからね。うちのキャスト達も、そういう人は嫌いじゃないはずさ。どんなに現実世界で変態と呼ばれる人であってもね。
04
夢と現実の懸け橋に
さっきもちょっと話したけど、夢はやっぱり現実の為にあると思うんだよね。ひと時いい夢を、眠りを得て現実に一歩踏み出してほしい。夢はあくまで夢で、現実と混同してはいけない。君たちの物語は、あくまで現実にあるものなのだから。…夢と現実の懸け橋、って良い言葉だけど、それってそれぞれが別物だからこそ要るわけでしょう、架け橋ってものが。うん、そういうね、距離感の【架け橋】がやれたらいいなあっていうのが創業からの願いだね。
――素晴らしいお話でした。ありがとうございます。聞けてとても良かったです。
いやいや!うちも内部の詳しいことを伝える場を得られて有難いよ。
添い寝って相性とか向き不向きが大きいし、まず飛び込んでみようっていう人材が少ないからねえ。興味がある人は、一度お客さんとして来てみてくれてもいいと思うよ。昼の部でも、勿論夜の部アダルト部門でもね?
――それはとても刺激的なご提案ですね!(笑)ですが、夜のそちらのセクションは少女しか在籍していないようなお話でしたが…?女性の就職希望者はちょっと困ってしまいますね。
ああ~~~…いや、一応居るんだよ。そっちで働ける夢魔の男性も一人いることはいるんだ。混血だけどね。
――歯切れが悪いようですが、何か…?
うーん、それはまあ指名してからのお楽しみかな!もし本気で気になるという人は、エントリーのついでに職業体験希望、と書き添えてくれると希望に応えられるかもしれないね。
夢を見せるということ、明日への希望を灯すということ、ただそれに寄り添う事。添い寝は簡単なようで、とても奥深い業務だ。やる気のあるキミ!…というよりも、肩の力を抜いたキミのエントリーを待っているよ。
当企業へのエントリーへの意気込みや、今後の参考にご感想等いただけると幸いです